助成金とは?

助成金とは?

 あらためて最も基本的なことを確認すると、国からの支援として、返済する必要がないお金のことを言います。

 助成金の基本的なことは、以下のとおりとなります。

  • 融資と違って返済不要
  • 融資より書類は多い
  • 会社(事業主)に支給される
  • 売上ではなく、利益(営業外収益)

 基本的なことの再確認ですが、もらい切りのお金です。融資と違って返済する必要がありません。国から支給されるお金ですから、その審査もより慎重なものになります。返済する必要がないからこそ、提出しなければならない書類は融資よりも多くなることが一般的です。数百万の助成金の場合、ファイルの厚さにして10センチを超えることも珍しくありません。また、不備を訂正するために数カ月を要することもあります。事業所だけで手掛けていたケースで不備の訂正に1年以上も要して、それでも不備が訂正できなかった例もあります。

 傷病手当金や育児給付金のように従業員に支給されるものではありません。法人や個人の事業主に対して支給されます。

 助成金は、雑収入として営業外収益に計上されます。助成金を受給するためには、通常の企業活動を行ったうえで、要件を満たせばよいので、コストがかかっていないと考えることができます。こうした意味で利益率100%と考えることができます。

 建設業の社長がこのようなことを言いました。「100万円の助成金を受給することは1億円の完工高をあげることと同じだ」と。「建設業の売上高利益率は1%だ。1億円の仕事をしても、1億円×1%=100万円の利益しかない。助成金100万円にはコストがかからない。だから、100万円の助成金と1億円の売上は同じだ」と。

 業種や会社によって利益率は違いますので一概に100万円の助成金が1億円の売上と同じとは限りません。しかし、原価がない助成金の利益率は非常に高いと言えます。

助成金は管轄を理解することが非常に重要

 助成金や補助金と言われるもらい切りのお金を考える場合、どの省庁が管轄しているかを押さえることが非常に重要です。

 厚生労働省管轄:  用件に合致すれば支給される

 その他の省庁の管轄:オーディション型

 厚生労働省と経済産業省、農林水産省、国土交通省などその他の省庁の助成金・補助金には大きな違いがあります。厚生労働省は、要件に合致されれば支給されるのに対して、その他の省庁はオーディション型の形式をとる場合が多いということが挙げられます。

 オーディション型とは、年間の支給額、件数に枠があり、たくさんの応募の中から内輪で1社とか3社とかを決定するという形式です。決定の理由については、教えてくれることはありません。

厚生労働省管轄の助成金は要件に合致することで支給

 厚生労働省管轄の助成金は要件に合致することで支給されます。もし、支給されない場合、これを不支給決定といいますが、その理由は明らかにされます。他の省庁のように、なぜ不支給になったか明らかにならないということはありません。

 厚生労働省管轄の助成金を受給するためには、要件に合致するためにはどのような企業行動を取ればよいかを事前に入念に情報を入手することが重要です。

 申請そのものの技術も必要ですが、どのようにすれば、要件に合致するのかということを事前に情報を入手し、対策を練ることが重要です。

厚生労働省管轄の助成金は雇用保険適用事業所の事業主に支給

 厚生労働省管轄の助成金は雇用保険適用事業所の事業主に支給されます。雇用保険適用事業所とは、従業員を1人以上雇い、雇用保険に加入させているということです。

 雇用保険は、簡単に言うと、週20時間以上働く人を雇う場合には、学生など一定の人たちを除いて、全員加入させなければなりません。週20時間と言えば、1日4時間を5日で20時間になります。ごく一般的に人を雇っている場合は、雇用保険適用事業所になると考えていただくとよいでしょう。

 逆を言えば、現在誰も雇っていなくて、将来も誰も雇う予定がない、将来にわたって自分1人で仕事をしていくとか、雇わずに外部委託などだけで仕事をしていくつもりである場合には、厚生労働省管轄の助成金は一切、存在しないということになります。

助成金は雇用保険料が原資

 厚生労働省管轄の助成金は雇用保険料が原資になっています。厳密にいうと、雇用保険料のうち、事業主が負担した部分で雇用保険の基本手当(いわゆる失業給付)の原資になるものを除いた部分が原資になっています。

 これを雇用保険2事業といいます。従って、助成金は従業員に支給されるのではなく、事業主に支給されるのです。また、雇用保険料を負担している雇用保険適用事業所の事業主に対してのみ支給されるのです。

 厚生労働省が管轄する助成金の原資は税金ではありません。雇用保険料です。

 平成24年度の雇用保険料は以下のとおりとなっています。

事業の種類 保険率 事業主負担率 被保険者負担率
一般の事業 13.5/1000 8.5/1000 5/1000
農林水産 15.5/1000 9.5/1000 6/1000
清酒製造の事業
建設の事業 16.5/1000 10.5/1000 6/1000
(平成24年4月1日の雇用保険料率)

助成金の原資となる雇用保険料は事業主負担部分

 雇用保険の原資となるのは、事業主が負担する雇用保険2事業部分の雇用保険料です。

雇用保険の原資となるのグラフ

助成金は自分で払った雇用保険料が元。でも申請が必要

 助成金は、事業主が支払った雇用保険料が原資になっています。しかし、どんなに多額の雇用保険料を納めていても、助成金は自動的に振り込まれてくることはありません。自ら申請しなければ受給することはできません。

助成金情報は、最新かつ本物の情報を入手すること

 最新の情報を入手して計画的に活用することをおすすめします。また、本物の情報はなかなか入手することはできません。インターネット等で情報収集することもできなくはありませんが、なかなかその全容を理解することはできません。

 助成金は、50種類、あるいは数え方によれば100種類程度あると言っても過言ではありません。そのため、どの助成金を申請すべきかどうかさえ分からなくなります。また、要件は、細かい部分が頻繁に改正があります。年に1回程度の改正ではありません。毎月のように細かい改正が続きます。その全ての情報を網羅することは容易ではありません。ある時に助成金の要件を満たしそうだからと事業計画を練っていたところ、計画書を提出す段階になってその助成金の要件の改正があり、要件を満たさなくなっていたということもよくあります。

 また、インターネットには掲載されていない、現場でしかわからない情報もあります。あまりにも様々なパターンがあるために、スピーディーに全ての要件を網羅的に情報提供することができないのです。

 助成金の情報について気を付けるポイントをまとめると以下のようになります。

  • 助成金の改正は頻繁に行われる。古い情報に気を付けよ。
  • インターネットでは読み取れない情報がある。
  • 計画書を提出して申請を待っている間に改正が行われる場合もある。
  • 売れセンの助成金とそうでない助成金がある。
  • 要件の1文言で引っ掛かる場合もある。
  • 専門用語は正確に理解する必要がある。
  • 助成金によって同じ文言でも定義が違う場合がある。
  • 似たような助成金でも助成金が違っていたら、それぞれに要件の定義があると思え。
  • 社会保険諸法令の改正で要件が変更になることがある。
  • 助成金はずっとあるとは限らない。寿命は1年から数年と考えよ。
  • 社会情勢によって新しい助成金が出現してくる。
  • 雇用に関して社会的に解決したい課題の解決に助成金は生まれる。

助成金を受給するための共通する要件は?

 助成金を受給するための共通する要件のポイントをまとめると、以下のとおりとなります。

  • 雇用保険の適用事業所であること
  • 出勤簿(タイムカード)・賃金台帳・労働者名簿などを完備していること
  • 設備投資に係る助成金は、会計帳簿を完備していること
  • 労働保険料を滞納していないこと
  • 解雇者が過去6ヵ月以内にないこと
  • 助成金不正受給が過去3年以内にないこと
  • その他、労働関係法令を遵守すること

 厚生労働省の助成金を受給するという権利を主張するためには、労働関係法令を遵守するという義務を履行する必要があるわけです。

 「法律なんてクソ喰らえ!」、「うちの業界で労働基準法を守っていたら、会社が倒産しちゃうよ!」という会社は、助成金の申請を諦めたほうが良いと言えます。

 では、「労働関係法令を守れって言われても、不安だなあ。その気はあるけどどうしたらいいんだろう?」っていう会社はどうしたらよいのでしょう。

 餅は餅屋です。こうした課題を解決するために専門家が存在します。労働関係法令を整備するのが社会保険労務士の使命です。労働基準法は制定から50年以上経過しています。
その間、労働環境も変化してきました。働き方も多様化してきました。それに合わせて、多様な働き方を許容できるように労働基準法や関係法令も変化してきています。昔のながらの法律ではありません。現代の働き方に合致するように、かつ、法令にも抵触しないように合法化できるように様々な制度を導入していくのが社会保険労務士の腕の見せ所です。
労働法なら弁護士にも勝る理論のキレの良さと数をこなした経験値の高さを備えた社会保険労務士を選択することが結局は得をします。

厚生労働省の助成金を受給することは国策に沿うこと

 厚生労働省の助成金を受給することは国策に沿うことなのです。

 雇用保険法第1条では、雇用保険の趣旨として以下のような目的を掲げています。

(雇用保険法第1条)
 雇用保険は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うことにほか、  労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に、必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就業を促進し、
 併せて労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。

 雇用保険は、失業保険の給付をメインにしていますが、その他にも目的があるのです。

  • 労働者が教育訓練を受けたときに必要な給付金を支給する教育訓練給付制度
  • 労働者が就職しやすいように支援し、労働者の職業の安定を図る雇用安定事業
  • 労働者の能力を向上させるための能力開発事業
  • 失業を予防、雇用の機会を増やし労働者の福祉の増進を図るための雇用福祉事業

 雇用保険制度は、単に失業手当の支給を行うだけの制度では無く、教育訓練給付金の支給や雇用安定事業、能力開発事業、雇用福祉事業などを行うことにより、総合的に労働者の失業の防止、再就職の促進を図ろうとする制度なのです。

助成金は憲法にその根拠がある

 日本国憲法27条では、「すべての国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」と規定されています。日本国は、国民に対して勤労権を保障しています。

 雇用の場を提供することは国にとって義務と考えることもできるのです。しかし、資本主義社会では失業は必然的に発生します。したがって、国が直接的に雇用の場を提供し勤労権の保護を行うことは不可能です。

 そこで、雇用保険によって国が直接雇用を提供せずに、失業中の人の生活の安定を図り、国民の勤労権の保護を行っているのです。国は、雇用保険を通して間接的に勤労権の保護を行っています。

 同時に、国は、できることならば、国民に勤労の権利を履行できる状態、つまり、働く場を提供できるようにしたいのです。

 国民に働く場を提供するための施策として助成金が存在するのです。国は、様々な要件を付けて助成金を支給するようにしていますが、その要件は、全て国策として練られたものなのです。その時々に解決したい雇用上の問題を解決できるように仕向けているのです。

 いずれにしても、新しい雇用を生み出す事業主に対しては、助成金を支給する根拠があるわけです。

大手を振って助成金の要件を満たそう

 例えば、特定受給資格者雇用開発助成金では、障害者を雇い入れた場合、135万円の助成金を受給できます。

 次のようなご質問をよく受けます。「ハローワークに行って、『障害者を雇いたいんですが・・・』ということはいいのでしょうか?」というご質問です。

 答えは、「はい。もちろん!!」です。職安に行って窓口で、大手を振って「障害者を雇いたいです」とお伝えください。職安には障害者求人専用窓口もあります。大きい職安では、障害者雇用の担当者の方もいます。そこで、「障害者雇用に伴う助成金も受給したいのです」と伝えてもらっても当然OKです。

 前述したとおり、国は、全ての国民の勤労権を保障したいのです。しかし、現実として障害者の雇用には大きな壁があります。一般的に事業主は障害者の雇用に及び腰になるのです。当然、障害者といえ、事業主と労働契約を結ぶからには、賃金に見合った労働力を提供しなければなりません。賃金に見合った労働力が提供できないと判断するならば、労働契約の締結を見送ったり、労働契約の解除を申し出るのは、事業主として当然の経済行動と言えます。また、それのみではなく、賃金に見合った労働力を提供できる障害者であっても、イメージとして障害者というだけで雇用の場の確保が困難になることも多々あります。

 それゆえ、健常者に比べて雇用の場を確保するのが障害者は困難になっているのです。そこで、国策として障害者に雇用の場を確保を容易にするために、特定受給資格者雇用開発助成金という助成金を設けているのです。また、障害者に係るその他のたくさんある助成金もこうした趣旨なのです。

 同様に、雇用の場を確保することが困難だと考えられる人に対する助成金のメニューが作られているのです。母子家庭の母、高年齢者、若年者その他の方々です。

 こうした雇用の場を確保することが困難な方に対して雇用の場を提供する事業主は、まさに、国策に合致した行動をとっていると言えるのです。

 ですから、大手を振って助成金を受給できるように考えてみてください。全くやましいことではなく、むしろ、誇らしいことなのです。

助成金のご利用は計画的に!

 助成金を活用するのであれば、計画的に行うことをおすすめします。後で、もらえたはずなのにもらえなかったと後悔しないようにしたいものです。

 計画するためのポイントを列挙してみました。

  • 複数の助成金を申請可能です。
  • ただし、併給調整があます。(趣旨が同じ助成金は複数受給できません。)
  • 『最も多く、最も可能性高く受給するためにはどうすべきか』を事前にスキーム(しかけ)をつくることが重要です。
  • 新規に事業をおこす場合は複数・多額の助成金の可能性が大です。特に入念な助成金計画を!


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